470級セール開発秘話-国旗印刷スピン編

投稿者: | 2016/08/13

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Rio五輪470男女両クラスのレースでダウンウィンドで鮮やかな国旗のスピンランを目にされていると思います。

これらの多くは2016 Rio五輪で初めて使用される、ノースセール・ジャパン制作のスピン用軽量ナショナルフラッグロゴプリンティングが採用されています。

なんと参加している男子26カ国中19カ国、女子20カ国全てがノースセール・ジャパンで製造された国旗のプリントされたスピンを使用しています。

 

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ここ1−2年、数多くのレガッタで、スポンサー企業ロゴ、あるいは大学のロゴをスピンに印刷して利用されているのをみることが多くなってきたかと思われます。これはノースセール・ジャパンが、五輪で使用される国旗入りのスピンがRio五輪、さらには東京五輪で使用されることを念頭において、およそ2年ほど前からとりかかってきたプロジェクトの一環だったのです。これらの製造を手掛けたことにより当社は五輪470クラスのスピンに国旗を印刷できる提供できるISAF認定のオフィシャルサプライヤーとなりました。

これまでの五輪ではスピンに国旗の印刷をする際、ペインティングを採用するチームが多く見られました。このペインティング方法だと、完成したスピンに国旗のレイアウトをマスキングで施し、インクをステンシルあるいは、ローラーで塗っていく作業が必要でした。さらには曲率の高い3次元のスピンに、外からきれいに見える形状をレイアウトするのは大変な作業です。さらに、ペイント重量によるセールの重量増加を嫌って、極端に薄い印刷を施すチームも見受けられました。

 

私たちは、実際に470のセールに使われるスピンクロスに大型印刷機によるプリント、およびインク材料のテストを重ね、1平米1g程度の重量での印刷手法を編み出しました。五輪の国旗は横約2.5m、高さ約1.5m程度、およそ3.7平米で、パネルを3枚にまたぐことになります。

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スピンの形状に国旗を投影、2Dから3Dへ。

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さらに3Dになった国旗をパネルレイアウトに沿って2Dのパネル毎に分解

 

そのため、スピンの3次元形状に投影された国旗を実際にフライングしている時にきれいに見える形状に変換するプログラムを新たに開発。さらにスピンに投影された国旗はパネルごとに3分割され、2Dのフラットなデータに変換されます。また、国旗の印刷には、ほとんど重量変化がないインクと印刷手法を用いています。さらにこのインクはスピンの形状に全く影響を与えずスピンをクシャクシャにしても、色落ちやはがれることがなく、すでに多くのトップセーラーから好評を得ていました。

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このようにパネルに分割された国旗はセールクロスに寸法どおりに印刷されます。全面バキュームベッドに慎重に印刷されたセールクロスをセットし、超音波ブレードカッターにて、寸分違わないようにパネルにカットされていきます。

次のプリントされたパネルをはぎ合わせる作業は柔らかく変形しやすいスピンクロスの縁を適度なテンションをかけながら合わせないと今回は国旗の絵柄がずれたり、シームでのシワやスピンのシェイプに影響が出るので慎重な作業が要求されました。

このパネル3枚をつなぎ合わせる際に繋ぎ目の絵柄のずれを最小限度におさえられたのは、寸法精度高く印刷できる大型プリンター、全面バキュームでセールクロスをしっかり伸ばして、寸法通りにカットできる超音波ブレードカッターと、IHC認定ロフトの当社が誇る職人技のおかげでした。

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