470セールの開発は、
デザイン・製作 → セールの評価 → セールを使ったレース艇の性能評価 → フィードバック
といった、“デザイン・スパイラル“という開発方法を使って行われています。
セールの評価、レース艇の評価については、コンピューターでのシミュレーション（バーチャルセーリング）と2ボートテストに代表される実船テストの２つの方法があります。
１．コンピューターを用いた、“バーチャル・セーリング”による、セールの評価 （この方法は、アメリカズカップ艇、TP52艇などのレース艇で使われている方法をディンギーに応用したもの）コンピューター上でセールデザインの評価、セッティングの評価を行います。計算方法の発達と実艇からのフィードバックにより高度で正確なシミュレーション計算が可能となっています。
２．複数のレース艇を実際の海面で走らせ、性能を比較します。世界に先駆け日本で開発された、2ボート解析システムを使ったセール・艇の性能判定システムを用いたアプローチで“セーリングを科学する”方法です。
470級にこの2ボートテストの解析システムを使用しているのはおそらくノースセール・ジャパンだけです。2ボートシステムは、アメリカズカップなどの大型艇で使われてきた検証方法です。例えば20年前のNippon Challengeなど当時のアメリカズカップ艇には高価で大型のGPSと大きなデスクトップPCを艇に搭載して帆走データを収集し、フィルムカメラでセールシェープを記録し、1日のテストセーリングのあとに数時間におよぶ解析作業を行っていたものでした。
デジタルカメラ、GPSやPCを代表とするデジタルツールの高性能小型化、およびWi-Fi、Bluetoothなどの高速大容量の無線伝送システムの発達が、ディンギーなどの小型艇での2ボートシステムに必要な技術要素になっています。