470級セール開発秘話-超音波ブレードカッター編

投稿者: | 2016/08/11

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最新のセールクロスカッティングプロッターUltra Sonic Blade Cutter を導入して約2年がたとうとしています。
従来のレーザーカッターに比べ、一段と精度が増し、North Sails Japanの得意とする製品の正確さ、ワンデザインセールに至っては均一性にさらに磨きがかかったといえます。

Ultra Sonic Blade Cutterの特徴を何点か紹介いたします。

1.USBCの特徴のひとつはバキュームシステムで、カッティングの精度はこのマシーンのバキュームシステムの進化により精度がさらにあがっています。

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このバキュームテーブルの特徴は、テーブル全面でクロスを吸着させられることです。テーブルの表面は剣山のようになっており、セールクロスをテーブルに載せて吸引ファンを作動させると、セールクロスをテーブル全面で吸引します。セールクロスはテーブルにほぼ真空パックのように、完全にフラットにセットされ微動だにしません。裁断時にクロスがずれてしまう恐れが全くなくなります。さらに強力な吸引力でセールクロスが浮き上がったりすることなくなります。プロッティング、カッティングの誤差がなくなり、0.1mm以下の精度で大事なセールカーブを切り出す事ができます。さらに、このバキュームベッドを設置する際、自動追尾3D計測システムを使用し、ベッドの平滑度を極限までフラットにする作業を行っています。

2.超音波のブレードカッター:Ultara Sonic Blade Cutter(USBC)は最大30KHz(1秒間に30000回の目に見えない振動)で超硬刄を上下動させています。通常のカッティングプロッターでは、セールクロスを押すような形のローラー刃、あるいは刃をひくようなかたちでカットするためセールクロスの断面にストレスがかかり内包する繊維がずれてしまうことやクロスを無理やり引裂くことがあります。USBCは高周波振動により、セールクロスの断面を非常にきれいにカットすることができます。振動数を調整することで、スピンクロスのように柔らかいセールクロスから強度の高いアラミド系のセールクロスにも対応していきます。

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3.シャープな裁断:レーザーカッターでは、カッティングの速度がゼロになるコーナー付近では、速度に比例した以上のレーザー出力が必要になるため、切り口がレーザー光の熱により溶けることがありますが、超音波カッターでは、溶けることがないためどんな鋭角なコーナーでも、非常にシャープな裁断ができます。これまではレーザーではコンマ数ミリ溶けてしまうところを考慮してカットサイズデータを作成していましたが、ブレードカッターでは完全に意図した実寸寸法でカットでき、これ以降の製造作業での精度の向上に一役たっています。

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