2020 Japan Melges Week 優勝艇 ”TRINITY” 加藤高裕オーナー チューニング公開!!
11月1日から3日にかけて、葉山沖で第7回全日本Melges20クラス選手権 <Japan Melges Week> が開催され、加藤高裕オーナーヘルムスマン率いる ”TRINITY” が念願の初優勝を果たしました。
”TRINITY” セールインヴェントリーは、Mr.Melges 山田寛さんのコーディネートによる
- Mi-3 3Di RAW Mainsail
- Ji-5 3Di RAW Jib
- V4-2R Reacher
- A3-1 Runner
TRINITY の皆様、優勝おめでとうございます! 素晴らしいレポートありがとうございます。
第7回Melges 20全日本レポート
[リグセット]
Base Setting
マストレーキ:9305mm
トップスプレッダーディフレクション:116mm
ボトムスプレッダーディフレクション:318mm
アッパー:39
ダイヤモンド:26
ロア:35
[使用セール]
メイン:Mi-3 3Di RAW Mainsail
ジブ:Ji-5 3Di RAW Jib
ジェネカー:V4 2R、A3-1
[Rig Tuning Table] ※テンションゲージはPT1使用
R1 | R2 | R3 | R4 | R5 | R6 | R7 | R8 | R9 | |
アッパー回転数 | 0 | 0 | 3 | 5 | 3 | 0 | 0 | -3 | -3 |
ダイヤモンド回転数 | 0 | 0 | 6 | 12 | 9 | 0 | 0 | 0 | 0 |
スピン | V4 2R | V4 2R | V4 2R | V4 2R | V4 2R | V4 2R | A3-1 | A3-1 | A3-1 |
[初日]
フラットな海面でしたが、強弱が激しいためラルでパワーが無くならないよう注意し、パフではアッパーのトラックを下げたりアウトホールを引くなどして対応しました。海面はフラットなためメイントリムは基本的にタイトにし、距離を出したい時を除いては高さをしっかりと稼ぐように走りました。ラルではストールしないよう丁寧にタイミングよくメインを抜くことを心がけスピードの維持に努めました。その結果全体の中でもいい走りが出来ており、レースを展開しやすい状況を作ることが出来ました。
[2日目]
初日とは打って変わり南から南西のラフなコンディションでしたが、風速は息をしており強弱がありどのようなセッティングでレースに臨むか直前まで迷う状況でした。風が上がってくる気配があるものの、波が悪く風が落ちている時にはパワーが必要なため、あまり強風セッティングにし過ぎるのは避けるようにしました。2本目のレースに向けて、風速が上がってきていたためバテンをハードに変え臨みましたが、結果的にはスタンダードでもよかった感触はありました。波の悪いコンディションの中でのセッティングとしては改善の余地があると感じた日でもあり、ダイヤモンドの入れ具合やロワーの使い方の工夫が必要だったとの反省が残ります。また、この日はスピンのチョイスにも悩まされる日で、風向により波の方向がずれるためV4 2RとA3-1のどちらの方が効果的か毎レース毎にチェンジを考えていました。結果的には全てV4 2Rとなりましたが、タイミングによってはA3-1の方が良かった時もあったと感じています。
[3日目]
時間の経過に伴い風が弱くなる予報でしたので、どのタイミングでリグを緩めるかタイミングを見計らいました。1本目2本目はまだ風が残ると考えベースセッティングで臨みました。基本的な考えとしては初日と同じで比較的走りとしてはいい時間は長かったものの、プレッシャーの中でアッパーをもっと使うことでメインの抜きを減らしもっといい走りが出来たのではないかと思います。3本目以降は風が落ちてくることを予想していたためリグを緩め微風に備えるセッティングで臨みました。思いのほか風が粘った感はあり、ベースセッティングでも問題なかったかもしれませんが、パワーアップできる状況を作っていたことは安心感にはつながったと思います。この日もスピンのチョイスには神経を尖らせることになりましたが、最終レースの最後のダウンウィンドで逆転出来たことからするといい選択が出来たのではと思います。
本レガッタはバラエティに富んだ風でリグセッティングの選択が非常に難しくいつにも増して慎重に判断を行いました。リグセッティングはノースセールのチューニングガイドをベースにしており、風速の変化に対する調整もチューニングガイドを参考にしています。但し、実際にレースをする中でチューニングガイドそのままで必ずしも他艇に対していい走りが出来るとは限りませんので、風や波などのコンディションによってダイヤモンドとアッパーとロワーの詰める割合を変えるなどします。今回のレガッタでは風の強弱が大きいレースが多かったためアッパーは詰めてもダイヤモンドの詰めは少なめにすることは多くありました。必ずしも最適ではなかったかもしれませんが、リグセットを変えることやスピンを変えることを躊躇なく行える連携がチームとして取れていたことは大きなアドバンテージになっていたと思います。
<加藤 高裕オーナーからのコメント>
セーリングは、ボート・セール・クルーの三つの要素が生み出す「奇跡」のスポーツです。その重要なファクターの一つであるセールは、科学的な解析から導き出されたテクノロジーを「布」に織り込んでいます。サイエンティストでもあるクラフトマンにより計算し尽くされた「価値」を、「勝ち」に変えることが出来るのがノースセールであると信じています。ディンギーの要素もあるキールボートであるMelges 20というレーシングなボートで、クルーを心から信じられるヘルムスマンのテクニックを助けてくれます。セールは生き物です。大切に扱い、愛情を注ぐことで最高のパフォーマンスを生み出します。Nothing but NORTH SAILS!!