470級セール開発秘話-計測ツール実験編

投稿者: | 2016/08/16

セールの開発に使われた計測装置やツールをご紹介します。

WindTunnel#1 CFD

洋上でのテストで性能の判定の難しいスピネーカーの開発は金沢工業大学と共同で行いました。ミニチュアモデルのセールと、6分力計を用い、スピンの各コントロールトリムおよび帆走条件を変えながらデータを収集し、スピンの絶対評価および、CFD計算の数値モデル化により高精度なシミュレーションソフトを作りました。

レーザーセンサーを用いた、高精度マスト・ベンド計測装置

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アルミのフレームにマストを固定し、マストと平行にレール上を動くレーザー距離計にてマストのたわみを瞬時に計測していく

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レーザー距離計にてマストの長手方向の距離とたわみを同時計測

セール形状には非常に大きな影響を及ぼす、マストの特性を計測する装置。 マストを知ることによって、セールをもっと詳細に知ることができます。これまでの手作業による計測に変わり、マストを固定するフレームと、レーザー距離計、PCを使い、マストのベンド特性をあっという間に計測することが可能になっています。このマストの剛性データはシミュレーションの入力パラメーターに使われ、より細かなシミュレーションを可能にしセールデザインに活かされています。

 

2ボートテスト時に使用される、超音波式の風向風速センサーと、GPSヘディングセンサーです。

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これまでのベーンとカップによる風向風速計では、波に叩かれた際に、ベーンやカップが飛んで紛失したり、ウォンド部分が損傷したりと、可動部の潮による劣化によるメンテナンスに手がかかっていました。しかし、これらのセンサーの特徴は、キャリブレーションがしやすく、メンテナンスがしやすいこと。さらに大事なのが、コーチボートといったラバーボートが波に叩かれた際などに、センサーに受ける影響が少ないことです。

GPSヘディングセンサーには2つのGPSアンテナが内蔵されており方位を0.75度以下の精度で計測ができます。

ノースセール・ジャパンはこれらのセンサーを使ってオリジナルのアプリケーションソフトを開発し、タブレット上に真風向、真風速を表示する風情報収集システムを製作しました。前回Londonオリンピックから採用され、Rioオリンピックセーリングチームにも採用され、選手へレースエリアのインフォメーションシステムに使われています。