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Louis Vuittonカップレポート -Artemis Racing-

先日アメリカズカップのチャレンジャーがErmirates Team New Zealandに決まりましたが、日本人デザイナーの挑戦も終わってしまいました。
ノースセール・ジャパン所属の鹿取正信は、Artemis Racingデザインチームの一員として、セーリングテクノロジーの最前線で活躍しました。
Artemis RacingチームのメンバーとしてAC35の挑戦が終わり、現場で感じたことをレポートにてご紹介します。


 

前回、Andrew Simpsonという偉大なセーラーを事故で失ってから、Iain Percyを中心に完全に違うチームに生まれ変わり、本当に多くの時間をさいて、今日までやってきましたが、残念ながら、Louis Vuittonカップのファイナルで、Ermirates Team New Zealandに負けてしまいました。

1995年のSanDiegoの大会から”ニッポンチャレンジ”をはじめとして、アメリカズカップの色々なキャンペーンに携わってきましたが、アメリカズカップの難しさ、そして、なぜこのレースが”世界最高峰のヨットレース”と呼ばれるレースなのかを改めて感じたチャレンジでした。
技術的なチャレンジ、セーリングのスキル、セーリングに対しての考え方などが、ハイレベルで、そして、また、色々な集まりの人が、オープンに話し合い、次のステップに進んでいくというプロセスは、なかなか、ほかのプロジェクトでは経験できないものです。
そして、その中で生まれたものを実際に試して、失敗もしながら、もっと良いもの、新たな考えを生み出していくパワーは、本当に特異な世界であるかと思います。

Artemisと私のつながりは、前回の練習中の事故から非常に強いものになり、Iain Percy(Andrew SimpsonはIainのオリンピックStar級で2008北京-ゴールド、2012ロンドン-シルバーとタイトルを取った時のスキッパー/クルーの関係)が、2013年のキャンペーンが終わってすぐ、2017年のチャレンジに向けて、チームを作り始めたときに声をかけてくれました。かなり最初の段階からチームに関わることになったので、”Artemis”というチームは、個人的にも非常に思い入れの強いチームでした。

チーム”Artemis”としては、Iain Percyをはじめとして、Nathan Outteridge, Iain Jensen, Paul Goodison, Francesco Bruni, Freddy Loof, Loick Peyronとそうそうたるメンバーをセーラーとしてそろえ、技術陣はフランス人を中心として、色々な国から色々な経験を持った人たちが集まり、ビルダーを始めサポートチームも本当に多才な人たちの集まったチームでした。
そして、このトップセーラーたちが持つエネルギー、もっと良く、もっと速くを追求するエネルギーは非常に大きいもので、常に活発な議論、それも、かなりオープンに意見を言い合うチームというのは、なかなか巡り会えないものです。

今回のレースフォーマットは、期間も、そして、実際のレース時間も本当に短かったので、あっという間に結果が決まってしまい、その中でチームとして、アップ、ダウンを経験してきました。
準決勝では、早福総監督/Dean Baker率いる、SoftBank Team Japanとのレースとなり、2人とも過去に同じチームとして戦ってきて、よく知っている人たちであることと、”日本”のチームであるということから、個人的には、少し複雑な感情をもって戦っていました。
しかし、ここ15年位のアメリカズカップの傾向として、”国”という概念がかなり薄れてきているので、”国”というくくりよりも、どんな”人”とチームで戦うかということが大きな要素になってきているかと思います。

チームとしてダウンの時に決して弱音を吐かず、次のアップを信じて戦えてこれたというのは、Iain Percyを筆頭として、本当に前向きで、労をいとわない人たちの集まりだったのかなと思っています。
個人としても、多くの時間を割いて戦ってきて、最終的に負けてしまいましたが、このような本当に良いチームと巡りあえて、キャンペーンを通じて戦ってこれたというのは、大きな財産となるのかなと思います。

何回経験しても、負けた後というのは、非常に心の整理が難しく、力が出ない状態が続きますが、心と体を充電した後は、いろいろなプロジェクト、キャンペーンでこの経験を生かしていきたいと思っています。

以上


 

1995年、2000年のニッポンチャレンジをはじめ、数々の海外チームで何度も全力で挑戦し、それでもなお、カップの奪取を試みてきた鹿取も、この新しいフォーマットのAC35の挑戦がハイレベルなステージであったことを語っています。超高速のフォイリングカタマランによるマッチレースは片時も目を離せないレースを展開し、ヨットレースの醍醐味やチーム(セーリングクルー、スタッフ)の戦いぶりが楽しめる新時代のアメリカズカップになりました。
チームのいい時も悪い時も皆で共有し、励まし合い、常に前に進む姿勢がArtemis Racingの戦いぶりからも感じられました。

今後もこのような、素晴らしいセーラー、スタッフを擁したチームがアメリカズカップに挑戦していくことを望んで止みません。

また日本には、17年ぶりに日本から参戦したSoftbank Team Japanが善戦し、次回以降の挑戦の行方が注目されます。

セーリングワールドカップファイナル

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ワールドカップファイナル

スペイン、サンタンデールで開催された470ワールドカップのファイナルは男子ギリシアのMantis/Panagiotis (リオ五輪銅メダリスト)がダントツの優勝。

女子はリオ五輪のあと長いブレークのあと久々に、しかも新しいクルーとのコンビで出場したリオ五輪の金メダリストGBR Hannah/Edxx が今シーズンワールドカップ全勝のNED Afrodite/ Annalose をいとも簡単に退け、ダントツの優勝を果たし、その金メダリストの実力の高さをアピールしました。

男女共にNorth Sails Japan のセールが大活躍しました。

470 Mens Results

logo_small 1 GRE 1 Panagiotis Mantis / Pavlos Kagialis 36p
logo_small 2 AUT 1 David Bargehr / Lukas Mähr 42p
logo_small 4 USA 1 Stuart Mcnay / David Hughes 48p
logo_small 6 GBR 55 Martin Wrigley / James Taylor 71p
logo_small 7 SWE 350 Carl-Fredrik Fock / Marcus Dackhammar 73.6p


470 Womens Results

logo_small 1 GBR 321 Hannah Mills / Eilidh McIntyre 20p
logo_small 3 ESP 18 Lilvia Mas Depares / Patricia Cantero Reina* 42p
logo_small 4 FRA 22 Cassandre BLANDIN / Aloise RETORNAZ* 46p
logo_small 5 ESP 14 Bàrbara CORNUDELLA RAVETLLAT / Sara LÓPEZ RAVETLLAT 48p
logo_small 6 ESP27 Sofia Toro / Angela Pumariega 60p

*–partial inventory