Monthly Archives: 8月 2016

2016NORTH SAILS CUP東日本スナイプレポート

8/27、28の2日間にわたり神奈川県江ノ島ヨットハーバーにて2016NORTH SAILS CUP東日本スナイプ選手権が開催されました。写真はこちら

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この大会を制したのは渡辺哲雄、斎藤浩二組。渡辺さんはクルーで昨年の全日本制覇、元470級ナショナルチーム、斎藤さんはスナイプ級クルーとして海外遠征を含め輝かしい経歴を持っています。

2日間ともに曇り空の下北寄りの10から15ノットの風速に恵まれましたが、シフトと強弱が激しく江ノ島沖のC海面はトリッキーで集中力を必要とするシビアなゲームが展開されました。この難しい海面で集中力を切らさず勝利した渡辺、斎藤組おめでとうございます!!
14064064_594086654104679_2824186876025664307_nこちらが成績表

この大会は今回でノースセールジャパンが協賛するようになり8回目の開催となりました。着艇後に振る舞われたドリンクと焼きたてのホットドッグ、豪華商品を含めたセールの抽選会、レース中の真剣な眼差しを捉えたスライドショー、今大会も大いに盛り上がりました。

スナイプセーラーが最も大切にしている言葉Serious Sailing Serious Fun.ノースセールジャパンはこの言葉に共感し全てのセーラーがそれを実現出来るよう願っています。レース海面でのシビアなゲーム、陸に上がってからの充実したアフターセーリング、仲間との楽しい時間、この大会に参加の皆さんには十分に実感していただけたのではないでしょうか。みなさん来年のご参加をお待ちしています。

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Japan Cup 2016 Summer Girl 優勝!

8月11日から14日にかけて Japan Cupが 西宮沖にて開催されました。 『全日本外洋ヨット選手権大会』の名のとおり 東は相模湾、西は玄界灘から8艇の精鋭が集まりました。 この時期特有の『浜風』は影を潜め、6ノットから14ノットと比較穏やかな風ではありましたが、甲子園球児に負けない熱い戦いを繰り広げました。

馬場オーナー率いる『Summer Girl』(Benetau First40.7 mod) が第1レース2位以降全てトップフィニッシュでまとめ圧勝。

そして 山田オーナー率いる『IRRESISTIBLE X』(King40)がハイパフォーマンス艇を抑えて準優勝しました。

注目の40ft ハイパフォーマンス艇4艇の戦いは、松嶋オーナー率いる『Galaxy』(Carkeek40)が僅差で制しました。

大会のリザルト、写真、デイリーレポートは下記大会サイトからご覧いただけます。 http://www.jsaf.or.jp/japancup/index.html

Summer Girl の皆様、おめでとうございます!!

尚、今大会参加8艇中8艇が North Sails を使用(うち1艇パーシャルインヴェントリー)、 3Di / 3DL / Panel Grandprix 全てのレースセールが国内最高峰のレースにて選ばれ、 8艇中6艇にNorth Sails Japan のスタッフが乗艇、レースをサポートしました。

North Sails Japan 470級セール 5個のメダル獲得!!

リオ五輪セーリング競技470級男子、女子は終了し、North Sails Japan のセールは、男子銀,銅メダル、女子は金,銀,銅メダルの選手に使用されました。トップ10男子で80%、トップ10女子で93%、全体では80%、North Sails Japan のセールが使用されました。

セールメイキング、開発技術の絶対的な信頼が五輪代表選手にノースを選ばせた証になっています。

リオの海面は、非常にトリーッキーで潮の強い難しい海面でしたが、セールのパフォーマンスによるアドバンテージが成績を安定化するのに貢献したのは間違いありません。

日本期待の470級女子、吉田/吉岡組は惜しくも5位でメダルに届きませんでしたが、最後まで大接戦を演じてくれました。

東京五輪へ挑戦する日本選手に大きな可能性を残してくれました。

470 Men Results

logo_small 2 AUS Mathew Belcher/William Ryan 58p
logo_small 3 GRE Panagiotis Mantis/Pavlos Kagialis 58p
logo_small 4 USA Stuart Mcnay/David Hughes 71p
logo_small 5 GBR Luke Patience/Chris Grube 75p
logo_small 6 SWE Anton Dahlberg/Fredrik Bergström 79p
logo_small 8 AUT Matthias Schmid/Florian Reichstädter 87p
logo_small 9 SUI Yannick Brauchli/Romuald Hausser 94p
logo_small 10 NZL Paul Snow-Hansen/Daniel Willcox 104p

470 Women Results

logo_small 1 GBR Hannah Mills/Saskia Clark 44p
logo_small 2 NZL Jo Aleh/Polly Powrie 54p
logo_small 3 FRA Camille Lecointre /Hélène Defrance* 62p
logo_small 4 NED Afrodite Zegers/Anneloes van Veen 63p
logo_small 5 JPN Ai Kondo Yoshida/Miho Yoshioka 66p
logo_small 6 SLO Tina Mrak/Veronika Macarol 67p
logo_small 7 USA Anne Haeger/Briana Provancha* 69p
logo_small 8 BRA Fernanda Oliveira/Ana Luiza Barbachan 76p
logo_small 9 AUT Lara Vadlau/Jolanta Ogar 92p
logo_small 10 POL Agnieszka Skrzypulec/Irmina Gliszczynska 106p

*- partial inventory

470級セール メダル獲得の裏側-驚異のシェア

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ノースセール・ジャパンがデザイン、製造したセールを使用したチームは、1996年のアトランタ五輪から2012年のロンドン五輪まで、5大会連続でメダルを獲得しています。そのメダルの合計は、金メダル8個を含む23個にものぼります。2008年の北京大会ではシェア約70%。2012ロンドン五輪では、オーストラリア男子チームとニュージーランド女子チームが、それぞれノースセール・ジャパンのセールを載せたヨットで金メダルを獲得しました。また、ロンドン五輪で470級に参加したチームのヨットのうち、84%以上がノースセール・ジャパンのセールを使っていました。

今回2016Rio五輪の470級のノースセール・ジャパン製のシェアは男女合わせて約80%にのぼります。

ここまでシェアが高い理由はこのブログの”470級セール開発秘話”にも紹介してきた、”クオリティの高さ”、”よりよいセールを作り続けている開発力の高さ”が信頼され、評価されています。

Rioでの戦いも佳境に入ってきました。 ノースセール・ジャパンの新たな開発は2020東京大会、地元の江ノ島沖での開催に向けて、既に始動しています。レースエリアの江ノ島、葉山沖での2ボートテストはこれから、世界各国の注目をさらに浴びることになるでしょう。

470級セール開発秘話-計測ツール実験編

セールの開発に使われた計測装置やツールをご紹介します。

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洋上でのテストで性能の判定の難しいスピネーカーの開発は金沢工業大学と共同で行いました。ミニチュアモデルのセールと、6分力計を用い、スピンの各コントロールトリムおよび帆走条件を変えながらデータを収集し、スピンの絶対評価および、CFD計算の数値モデル化により高精度なシミュレーションソフトを作りました。

レーザーセンサーを用いた、高精度マスト・ベンド計測装置

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アルミのフレームにマストを固定し、マストと平行にレール上を動くレーザー距離計にてマストのたわみを瞬時に計測していく

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レーザー距離計にてマストの長手方向の距離とたわみを同時計測

セール形状には非常に大きな影響を及ぼす、マストの特性を計測する装置。 マストを知ることによって、セールをもっと詳細に知ることができます。これまでの手作業による計測に変わり、マストを固定するフレームと、レーザー距離計、PCを使い、マストのベンド特性をあっという間に計測することが可能になっています。このマストの剛性データはシミュレーションの入力パラメーターに使われ、より細かなシミュレーションを可能にしセールデザインに活かされています。

 

2ボートテスト時に使用される、超音波式の風向風速センサーと、GPSヘディングセンサーです。

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これまでのベーンとカップによる風向風速計では、波に叩かれた際に、ベーンやカップが飛んで紛失したり、ウォンド部分が損傷したりと、可動部の潮による劣化によるメンテナンスに手がかかっていました。しかし、これらのセンサーの特徴は、キャリブレーションがしやすく、メンテナンスがしやすいこと。さらに大事なのが、コーチボートといったラバーボートが波に叩かれた際などに、センサーに受ける影響が少ないことです。

GPSヘディングセンサーには2つのGPSアンテナが内蔵されており方位を0.75度以下の精度で計測ができます。

ノースセール・ジャパンはこれらのセンサーを使ってオリジナルのアプリケーションソフトを開発し、タブレット上に真風向、真風速を表示する風情報収集システムを製作しました。前回Londonオリンピックから採用され、Rioオリンピックセーリングチームにも採用され、選手へレースエリアのインフォメーションシステムに使われています。

470級セール開発秘話-シミュレーション編

リグセッティング、風速の違いによるセールシェープは大きく変化します。以前はこれを正確に予測することは不可能でしたが、この15年ほどでコンピューターのパワーは増大し、それにともなってセール・シミュレーションの技術は飛躍的に発展しました。

この技術はもともとアメリカズカップ艇のように大きな高額のセールのみに使われてきましたが、ノースセール・ジャパンはこの技術をワンデザイン・ディンギーのセールデザインにも使えるように開発してきました。その優位性をここで紹介いたします。

コンピュター・シミュレーションによりセーリング中のセールシェープ(フライングシェープ)をかなり高い精度で再現することができることができます。これはセールシェープの最適化に大変役立ちます。 しかしいくらコンピュター・シミュレーションだからといってセーリングの条件が正確にインプットされなければ正確にフライングシェープを予測することはできません。

シミュレーションには実際のセーリングと同じ、以下の条件を設定していきます。

・マストの硬さ

・リグのテンション

・スプレッダーの長さ振り角度

・サイドステー取付け位置

・シュラウド(ワイヤー)の伸び率

・トラピーズに何キロ掛かっているか

・ステップの位置

・クロスのパネルレイアウト

・セールクロスの伸び率

・メインシート

・ジブシート

・バング

・トラベラー

・カニンガム

・帆走条件 風速 アタックアングル ヒール リーウェイ ボートスピード

Wakeと圧力分布

Flow:Wakeと圧力分布

セールにかかる力のマップ

Membrain:セールにかかる力のマップ

セールシェープの変形(誇大表示)

セールシェープの変形(誇大表示)

デザインしたセールをコンピューター上でマストにセットしてこれらの条件の下、風を流すと セールに生ずる圧力と空気の流れの可視化風速に応じてセールに掛かる力を計算 クロスの伸びによるセールの変形とマストの変形 セールに生じる圧力や変形、リグの変形など、 風速に応じた正確なセールシェープとセールに出るシワの深さなどを予測できるのです。

たとえばカニンガムを引いていない時にラフに出るシワは1枚のセールを微風から強風まで適応した形を出すためには必要なのです。 カニンガムを引く量を変化させたシミュレーション結果です。

E,F-1 Minor Strain(シワの深さ)no cunningham

カニンガムなし

20mm カニンガムON

20mm カニンガムON

カニンガム40mmON

40mmカニンガムON

カニンガムのコントロールによるMinor Strain (しわの深さ) の変化。 色が薄いほど、しわのない状態。 セールに出るシワはセールのシェープに大きく影響します。シワを計算で出せなければターゲットとするセールシェープは作れないと言えます。

このシュミレーション・プログラムは実際にセーリングしているようにメイン、ジブ、バング、トラベラー、カニンガム等のコントロールラインを調節してセールがどう変化していくかも正確に画像に出せますし、リグのセッティングの変化によるセールの変化も勿論画像で確認できます。

VirtualSailing#1 VirtualSailing#2

実際のセーリングからのフィードバックをシミュレーションと比較 ヘルムスマン、クルーからの視点はもちろん、コーチボートからの視点などあらゆる視点からシミュレーション画像を見ることが可能です。 実際のセーリング中の写真と、同じセーリング状態をシミュレーションと比較をし、デザインの検証を行うことでより正確にセールシェープを再現することが可能になっています。 これによりセーラーへのデジタル化したチューニングサポートもできるようになりました。

このようにセールシミュレーションをワンデザインディンギーセールの開発に使用しているのはノースセール・ジャパンだけです。セールを真剣に開発する。その姿勢に国内はもとより海外のトップセーラーから信頼を得ています。

470級セール開発秘話-2ボートテスト編

ノースセール・ジャパンはさらなるセールパフォーマンス向上を目指し、ディンギー用の2ボートテストシステムの開発を続けています。

複数のボートを用いて、海上で比較する2ボートテストはレース艇のチューニング方法としては、非常によく使われる方法です。ノースセール・ジャパンでは、これに独自開発したシステムを用いることで、客観的な視点から、性能を評価することを可能にしました。 システムの基本部分は、ニッポンチャレンジ、アメリカズカップで開発されたものを使っており、そこから、小さなレース艇という制約のなかで、ディンギーに特化した形で進化してきました。 現在は、携帯電話、防水カメラ等、比較的手に入りやすい安価なハードウェアを使いながら、ソフトウェアに工夫を凝らすことで、海上でのリアルタイムのフィードバック、セーリング後の詳細な解析が可能な仕様になっています。 風の情報は、伴走するコーチボートで計測され、各レース艇からの情報とともに、コーチの手元ですべての情報が集約されるシステムになっており、セールの開発のみならず、レース艇のチューニングなどにも力を発揮しています。

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システムは3つのコンポーネントで構成されています。テストボート2艇に、それぞれ1つの”オンボードパッケージ”と、コーチボートに載せられる”チェースボートパッケージ”です。 ”オンボードパッケージ”は、軽量でコンパクト、しかも防水であることが必要です。GPS機能付きスマートフォンとマストトップカメラがテストボートの”オンボードパッケージ”になります。マストトップカメラは1秒間に1回、自動で写真をとり、テスト後にセールシェープ解析に使用されます。同時にスマートフォンはテスト後の解析のためにテスト中のデータをログしています。スマートフォンとマストトップカメラは両方とも6-8時間バッテリー駆動でき、Wi-Fi機能により無線LANの信号で、データを送信できます。チェースボートはリアルタイムでこれらのデータを受信することができます。

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”チェースボートシステム”はこの2ボートテストシステムの中核をなすもので、PC、マストヘッドユニット(風向風速計)、ヘディングセンサー(コンパス)、GPSを備えています。収集された風のデータはパフォーマンスの解析の指標に使われます。2艇のテストボートからリアルタイムで送られてくるGPSのロギングデータ、およびチェースボートのPCで解析されたデータからは航跡、ゲイン/ロス、風のシフトなどの情報を、チェースボートのオンボードPC上でリアルタイムで見ることができます。

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このシステムの最大の利点というのはリアルタイムでパフォーマンスを比較できることです。これにより、海上でのテストをより効果的に行えるようになったことと正しい判断を下す時間の短縮になったことです。このソフトウェアで使用される全てのソフトウェアはノースセール・ジャパンによって開発されています。

 

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リアルタイムでの解析は、このシステムの特筆すべき一面でもありますが、同時にこれからのデザインに繋がる、FEAやCFDの計算用にもロギングデータが活用されます。マストトップからの写真とそれぞれのボートから送られてくるデータは時系列で同期され、テスト後の解析にも使われるようにひとつのデータベースにまとめて保存されます。 ここで簡単にセーリング後の解析作業を紹介します。テストボートのセーリングデータ、セール写真データ、チェースボートの採取したデータはひとつのデータセットにまとめられ、ストレートラインを帆走した、安定したテスト条件のデータが解析用に使用されます。解析された結果は、風の情報、両艇の勝敗、セールの写真とともに1枚の解析シートにまとめられます。( この解析シートから、スピードの優劣や、風のシフトが両艇に影響を与えたか否かなど、両艇のパフォーマンスを確認する為の多くの判断材料を得る事ができます。

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“アドバンスセールアナライザー”では、マストトップカメラで記録されたセールの写真より、セールに水平に貼られたストライプをデジタイジングし、セールのプロファイル寸法をもとに、3Dシェープモデルデータを生成します。 このように生成された3Dシェープモデルデータは、どの角度からもセールをチェックする事ができ、例えば、セールのプロファイルを後ろから見ることもでき、テスト中に後方から撮った写真と比較検討する事も可能にしています。 これらの解析ツールを使用することにより、パフォーマンス、セールシェープを数値化することにより、様々な局面からの検討を可能にしています。

 

このディンギー2ボートシステムプロジェクトにおける私たちの構想は、セールのデザインから評価にいたる一連をクローズドループとし、短期間でデザインスパイラルを回すということです。このループを多く回すことで、よりよいセールを開発できる機会が多く生まれます。 ボートのパフォーマンスをフィードバックしてくれるセーラーの研ぎ澄まされた感覚というのも、信頼できる大きな要素であるとともに、これらの2ボートテストのような科学的見地からパフォーマンスを解析することも乗り手であるセーラーの可能性をも高める要因になっていると思われます。